テーマ13 会議における管理職者のあり方
司馬遼太郎氏の「関ヶ原」(新潮文庫)の本の中に下記のような記述があります。
“徳川家康は、信長や秀吉のように自分の天才性を自分自身が信じたことは一度もない。
つねに衆議のなかから最も良好とおもわれる結論をひろいとった。
自分に成案のあるときも、それを隠して衆議にはかった。
結局は、家康自身の案を断行するするにしても、衆議にかけることによって、
幕僚たちは頭脳を練ることができたし、それを平素練りつづけることによって、
徳川家の運命を自分の運命として感ずる習性を養った。”
このように会議は、
「決定し実行する場」、「部下を育成する場」、「運命共同体をつくる場」
といえます。
以下、管理職者にとって、会議の運営実務上必要な下記の3項目について解説致します。
1.会議の基本 2.会議での管理職者のあり方 3.会議の注意点
1.会議の基本
「会して議し、議して決し、決して行うこと。」
会議は、決めるために集まります。決めたことは行動しないと何も成果は得られません。
このことをしっかり認識して、会議を進めます。
2.会議での管理職者のあり方
(1)どんな会議においても、常に、自分の方針、考え、結論を持って会議に出席する
管理職者は、例えば今後の対策を考える場として、会議を設定したとしても、
常に、自分の考え、結論を持って会議に臨むことが重要です。
自分の考えや結論より良い意見が出たときは、もちろんどんどん取り入れます。
(2)自分の考え、結論は、部下に発言させるように会議を進行する。
目的は、部下に考えてもらい、行動してもらうこと。
自分の考え、結論は自分で話すのではなく、極力、部下に発言させるように
会議を進行します。
部下に対する問いかけの言葉を工夫し部下に考えさせることが重要です。
部下は、自分が発言した内容が決定されると、
参画意識が高まるとともに、自ら行動するようになります。
(3)会議の場で部下を教育する
上司の仕事に対する取組み姿勢、仕事のやり方、考え方などの
話を聞くことができる会議の場は、部下にとって現場のスキルを
学ぶのに最高の場となります。
(4)実行されていないことは伝わっていないと認識する
会議で決まったことや伝えたことを部下が実行していない、というときは、
部下が行っていないと考えるよりも、上司である自分の想い、
言葉が伝わっていないと、まず考えてみるべきです。
部下に行ってもらうには、どのように話すとよいのかを考えてみる必要があります。
3.会議の注意点
(1)言葉の意味を統一する
定義があいまいな言葉や、意味がいろいろな取り方ができる言葉は、
部下の認識、行動がバラバラになってしまうので、
この言葉は、こういう意味で使いますと、きちんと定義づけします。
例えば、「次回までにスケジュールを決めておくこと」と伝えた場合、
スケジュールの内容として、日程だけを決めてくる部下、日程と行うべき
行動の詳細な内容を決めてくる部下など様々なスケジュールとなります。
また、次回までというと、次回の会議の場で提出する部下、上司が会議の
前に事前に目を通せるように2、3日前に提出する部下などこれも様々な状況となります。
このような場合は、スケジュールに記載すべき内容、提出の日時を
明確に設定する必要があります。言葉の意味を統一することは、
生産性の高い仕事をする上で重要な事項となります。
(2)会議の生産性を向上する
会議の資料で、事前に目を通しておいた方が良いものは、
参加者に事前に配布し、意見を持って会議に参加すよう徹底します。
また、部下の仕事のスケジュールに影響をきたさないように、
会議の開始、終了の時間を厳守して、会議を進めることが、
会議を主催する管理職者の責任として重要です。
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